穀雨(こくう)/こよみと健康その6
2024.04.19 こよみと健康
穀雨(こくう)(2024.4.19~2024.5.4)
「穀雨」は穀物に実りをもたらす恵みの雨が降り注ぐという意味です。田植えや種まきなど農作業のスタートとなる季節です。
【季節の養生】
寒さよりも日差しが気になる日が多くなる、気温的には過ごしやすい季節ですね。穀雨は春の終盤にあたり、漢方では春先によく働いた「肝」の疲れがたまり、ストレスからくる胃腸のトラブルや不眠、倦怠感、情緒不安定などが出やすいとされる季節です。グレープフルーツや文旦などの香りが良く、気の巡りを良くするとされている柑橘系の果物や、今年豊漁とされているぶり、この時期に旬となるタケノコや山椒など楽しんでみてはいかかでしょうか。また、ハナミズキやツツジ、藤の花やバラなど様々な花がきれいに咲く季節でもあり、色々なところに出かけるのも楽しそうです。ちょうどゴールデンウィークにも差し掛かるのでぜひ上手にリフレッシュしてくださいね。
【季節のできごと】
八十八夜(はちじゅうはちや)
八十八夜は雑節の1つで立春から数えて丁度88日目を指し、2024年は5月1日となります。この日以降、霜が降りることが少なく気候も安定してくるので、茶摘みや種まき、田植えなどの農作業を始める目安とされてきました。
「夏も近づく八十八夜~」ではじまる唱歌の『茶摘み』でこの言葉を聞いたことあるという方も多いのではないでしょうか。多少地域差はありますが、八十八夜を過ぎると新茶の季節になります。新茶はその年初めて収穫した新芽で作ったお茶でさわやかな香りと豊富なうまみが特徴です。栄養価も高く、飲むと1年間無病息災で過ごせるといった言い伝えもあり大切な人へのプレゼントとしても親しまれています。
【ミニ漢方講座その3】
漢方薬には症状だけではなく、その人の体質や季節によっても見極めていく奥の深さがあります。すべての人におすすめとなかなか言えないのですが、代表的な漢方薬を紹介していきます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
日本では特に更年期や月経異常などで悩む女性によく使われ、ドラッグストアなどでも見かけるかなりおなじみの漢方薬ですね。
「逍遥」という言葉は気ままに歩き回ること、散歩を意味します。元に逍遥散という処方があります。こちらはストレスで気の巡りが悪くなり、胃腸もうまく働かなくなり、疲れてしまうなどまさに春によく出る不調に合わせて作られた薬で、更にイライラや怒りっぽい、またはほてりなどの症状を鎮めるために熱を冷ます作用の生薬を加えたものが加味逍遙散です。
人によっては注意が必要な甘草、山梔子が含まれているので、なんとなく飲み続けることはせずに基本的に医師や薬剤師など専門家に相談して使ってください。
(薬剤師・国際中医専門員 飯沼)