芒種(ぼうしゅ)/こよみと健康その9
2024.06.05 こよみと健康
芒種(ぼうしゅ)/こよみと健康その9
芒種(ぼうしゅ)(2024.6.05~2024.6.20)
「芒」はノギとも読み、イネ科などの植物の穂先のことを示します。この時期は穀物の種まきや稲の植え付けに適した時期とされています。紫陽花が咲き始め、雨が多い時期になりましたね。
【季節の養生】
雨や曇り空が多く、気温も高くなり、湿度が気になる季節になりました。
漢方では「湿邪」といい、体の中の気の巡りや水分代謝を悪くして、頭や体を重だるくしたり、胃腸の動きを悪くして食欲不振になったりするなどの原因とされています。
そんな湿邪対策は、身体の中の水はけを良くして湿度をため込まないことです。軽い運動で体を温めたり、ゆっくり入浴して汗をしっかりかいたりすることも体の中の湿邪を発散させるイメージでおすすめです。汗をかいたらきちんとタオルでふき取ることも忘れずにしてくださいね。
また、薬膳的に豆類や薬味のみょうがや紫蘇なども体の中の水はけを良くしたり、胃腸の働きを助けたりする効果があるといわれています。これから店頭に並ぶ枝豆やトウモロコシも同様の効果があると言われているのでぜひ旬の味わいを楽しみながら活用してみてください。
【季節のできごと】
梅雨(つゆ/ばいう)
北海道、小笠原諸島を除く日本、中国南部、朝鮮半島南部などに特有の気象現象で、5月下旬から7月上旬にかけての曇りや雨の多い期間のことです。
「梅雨入り」と「梅雨明け」は気象庁で毎年地域ごとに発表するので、現代でもおなじみですね。
梅雨は、中国から伝わってきた言葉のようですが語源は、梅の熟す頃であるという説や、湿度が高く黴(カビ)が生えやすい時期であることから、「黴雨(ばいう)」と呼ばれそれが転じて同じ音の「梅雨」になった説など諸説あるようです。
ちなみに雑節の一つである入梅(にゅうばい)は芒種の後の最初の壬(みずのえ)の日とされており、2024年は6月10日にあたります。地域差はありますが、実際の梅雨入りとほぼ同じ時期になることも多く、昔からの暦が現代でも十分通用するのだなと改めて感じます。
梅仕事
梅仕事とは、梅が旬を迎えたころに収穫した梅を使用して梅酒や梅干し、梅シロップなどの保存食をつくることです。まだ実が青くて硬い青梅でつくるもの、完熟した梅でつくるものとそれぞれありますが、6月中旬くらいからスーパーでも梅仕事用の大きな容器や氷砂糖、梅などが並びますね。梅の木はわりと庭などにも植えられている身近な木なので、年に一回の恒例行事という方もいるのではないでしょうか。
「梅」は薬膳的にも疲労回復や口の渇きを潤す作用があるとされています。今年の夏は梅をうまく活用するのもおすすめです。
(薬剤師・国際中医専門員 飯沼)