小暑(しょうしょ)/こよみと健康その11
2024.07.06 こよみと健康
小暑(しょうしょ)(2024.7.6~2024.7.21)
暑中見舞いや多少地域差はありますがお中元などのやり取りをする時期ですね。
【季節の養生】
梅雨も後半になり、湿度とともに暑さが厳しくなる季節になりました。暑さも中医学では「暑邪(しょじゃ)」とよび、熱により汗をかいたり、顔が赤くほてったり、口が乾いたり、ひどくなるとめまい、ふらつきの原因となります。まさに夏バテ、熱中症の症状ですね。
対応策としては長時間の炎天下での活動を避けることのほか、室内でも適切な温度や湿度の調整も大切です。まだ体が暑さに慣れていないこの時期は特に注意なので、こまめに気温や湿度をチェックしてエアコン等を活用するように心がけましょう。
また体温調節のためにもある程度の汗をかくのは自然なことですが、こまめにふき取ることや失った水分等の補給が大切です。入浴や睡眠でも汗をかくので起床時や入浴前後にも水分を摂ることを心がけましょう。食事からの水分摂取も重要で、熱中症予防のためにもまず朝ご飯を食べることがおすすめです。スイカやメロン、桃、トマトやキュウリなどの夏が旬の果物や野菜を楽しむのも良いですね。
【ミニ漢方講座その5】
漢方薬には症状だけではなく、その人の体質や季節によっても見極めていく奥の深さがあります。すべての人におすすめとなかなか言えないのですが、代表的な漢方薬を紹介していきます。
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
「暑気あたり」という言葉がありますが、まさに夏の暑さと胃腸の不調で食欲不振になったり、下痢になったり、身体のだるさを感じる人に使う漢方薬です。似た漢方薬で「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」という薬があります。共通の胃腸を元気にする生薬に加えて、こちらは汗のかきすぎを防ぎ、体内の失われた水分を潤し元気をつける生薬を組み合わせているのが特徴です。
どの薬もですが、体質やアレルギーなどそれぞれ個人差があるので基本的に医師や薬剤師など専門家に相談して使ってくださいね。
【季節のできごと】
七夕の節句(しちせきのせっく)
7/7は五節句の一つである「七夕の節句」です。
読み方は七夕(たなばた)の方がおなじみですが、こちらは「棚機」という織り機の読み方を当てたのではないかと考えられているようです。
別名「笹の節句」とも呼ばれ、笹の葉に短冊を飾った思い出がある方も多いのではないでしょうか。カラフルな短冊は五行説にあてはめた5色(青、赤、黄、白、黒)が由来です。七夕祭りで飾られるくす玉は元々、薬玉と書き、麝香(じゃこう)や沈香(じんこう)、丁子(ちょうじ)、白檀(びゃくだん)などの生薬を包んだ袋をいれ、香りを楽しむとともに邪気を払うために作ったものだそうです。
丁度梅雨の時期になってしまうため、もとの旧暦の7/7に近い8月に七夕祭りがおこなわれることも多いですね。ちなみに技芸の上達を祈る祭りがもととなっているため、願い事としては習い事上達や、学業、お仕事などの夢や目標の達成が特におすすめです。
(薬剤師・国際中医専門員 飯沼)