秋分(しゅうぶん)/こよみと健康その16
2024.09.23 こよみと健康
秋分(しゅうぶん)(2024.9.22~2024.10.7)
春分の日と同様に昼と夜の長さがほぼ同じとなる日です。今度はこの日を境に夜が少しずつ長くなります。
【季節の養生】
今年は9月に入っても厳しい暑さの日が多いですね。例年だと「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉の通り、秋分を過ぎると一気に涼しくなりやっと秋を感じるという気候になりはじめます。つかの間の過ごしやすい、気持ちのいい季節と言えそうです。
中医学の先生にちょうど秋分のころから着るものを変えるように、漢方薬や養生の仕方を変えるといいよと教わったことがあり、それぞれの人の体質はもちろん季節や環境によっても微調整していく奥深さを感じた記憶があります。肌や目の乾燥、乾燥による便秘などが気になり始めている方も多いのではないでしょうか。これから夜が長くなりますが、体の潤いを守るには夜更かししすぎないことがお勧めです。また実りの秋として収穫が楽しみな栗やイモ類、お米などはどれも薬膳的に胃腸から体を元気にする働きがあると言われています。栗とお米で栗ご飯をつくったり、梨やブドウなどの秋の果物を楽しんだりぜひ秋の味覚を満喫してください。
【季節のできごと】
お彼岸(おひがん)
春の啓蟄(けいちつ)の時の記事でも書きましたが、お彼岸は、春分と秋分の前後の3日ずつの計7日のこと指します。今年の秋のお彼岸は、9月19日の初日が彼岸の入り、9月22日の中日が秋分、9月25日の終日が明けとなります。丁度過ごしやすい気候なので、連休を利用して皆でそろってご先祖様に日頃の感謝を伝えにお墓参りをするのが恒例の行事という方も多いのではないでしょうか。
秋のお彼岸には「おはぎ」ですね。材料となる小豆(あずき)の赤い色は、災難から身を守ると言われ、邪気を払うという信仰があります。ちょうど秋に収穫した小豆は香りも良く、皮も柔らかいので「おはぎ」は粒あんにするという説もあるようです。
彼岸花(ひがんばな)
彼岸花は最低気温が20℃前後になるまさに秋のお彼岸の頃に、すっとした茎を伸ばし鮮やかな放射状の赤い花を咲かす植物で、あぜ道や堤防沿いに見かけることの多い花です。原産地は中国大陸ですが日本全国に分布しています。曼殊沙華(まんじゅしゃげ)という別名のほか、それぞれの各地でも通名がありその数は数百から千程度ともいわれています。有毒植物ということもあり少し怖かったり暗かったりするイメージもある花ですが、群生している花が一斉に咲くと赤いじゅうたんのような圧巻の風景になります。各地で名所と呼ばれる観光地もあるのでぜひお出かけしてみてはいかがでしょうか。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)