冬至(とうじ)/こよみと健康その22
2024.12.21 こよみと健康
冬至(とうじ)(2024.12.21~2024.1.4)
1年でもっとも昼が短く夜が長い季節です。「陰」と「陽」で考えると自然界の「陰」がもっとも極まる時であり、少しずつ「陽気」が増えていく重要な節目ともいわれています。
【季節の養生】
外気と室内の寒暖差が激しいため、心臓に負担がかかったり、日照時間が短いため気持ちが落ち込みやすくなったりする季節です。寒くなると血圧が高めになるという方も多いですね。寒さがさらに厳しくなって体への負担を感じる季節ですが、漢方では体力を蓄え体質を改善するのに良い時期とされています。丁度年末の忘年会などで色々と美味しいものを召し上がる方も多いのではないでしょうか。丸鶏を使ったローストチキンや牡蠣を使った鍋など体力をつけるのに最適なご馳走を楽しむのも良いですね。
また太平洋側の地域では例年以上に雨が少なく空気が乾燥している日が続いています。火災やインフルエンザの流行などニュースで見かけることも多くなりましたね。火の元の確認や手洗い、マスクなどの対策を心がけて気を付けていきましょう。
【季節のできごと】
冬至
2024年の冬至の日は12月21日です。1年で最も昼が短い日で、夏至に比べると5時間程度も昼の時間が少なくなります。
冬至といえば柚子湯やかぼちゃなどを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。柚子湯もかぼちゃも1年の邪気を払って健康を祈る習慣として親しまれてきたものです。
柚子は香りでのリラックス効果のほか新陳代謝を高める働きなどがあるとされています。お風呂に浮かべていい香りの中のんびりするのはこの時期ならではの楽しみですね。かぼちゃは薬膳で胃腸に働き、冷えた体を温めて疲労を回復するのにも良いとされています。スーパーでも2種類ともよく並ぶようになるのでぜひ楽しんでみてくださいね。
お屠蘇(おとそ)
お屠蘇とは「屠蘇散(とそさん)」と呼ばれる生薬を数種類組み合わせたものを、大みそかの夜にお酒やみりんに仕込み、お正月の朝に飲む薬用酒のようなものです。
1年の邪気を払い、無病息災を祈る意味があるとされ、平安時代のころに中国から伝わり日本でも脈々と続けられている風習です。屠蘇散の組み合わせは地域や時代などにより少しずつ違いますが、桂皮(けいひ)や山椒(さんしょう)など体を温める生薬や、防風(ぼうふう)のような邪気を払うとされる生薬が組み合わされていることが多いようです。現代ではドラッグストアなどでティーバッグの形で売られているので、気軽に体験することができます。ぜひ新しい新年の健康を祈って試してみてはいかがでしょうか。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)