2025雨水(うすい)/こよみと健康その26
2025.02.18 こよみと健康
2025雨水(うすい)(2025.2.18~2025.3.4)
寒さが少しずつやわらぎ、降っていた雪が雨に変わり、雪や氷が解け始める時期です。梅の花が咲き各地で梅まつりが行われる頃ですね。
【季節の養生】
少し暖かいと感じる日が続いたと思ったら寒さが戻るなど寒暖差が気になる日が続きますね。また風の強さや乾燥も気になるところです。マフラーや手袋、帽子など調整できるアイテムを活用してもう少し続きそうな寒さや寒暖差対策をしていきたいですね。
予測ではそろそろ本格的な飛散が始まる花粉も気になるところです。まずは花粉を体内に侵入させないために眼鏡やマスクの活用がおすすめです。また室内に花粉を持ち込まないために、衣類をはたいてから室内に入ったり、花粉シーズンは部屋干しにしたりするなどの工夫などもしてみると良いですね。薬物治療としては内服薬のほかに、点鼻薬や目薬などもあります。症状が辛くなる人は無理せずに早い段階から活用してみてください。
【生薬と漢方その2】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。これから実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「大棗(たいそう)」
性・味:温・甘 帰経:脾・胃・心
代表的な漢方薬:六君子湯 補中益気湯
大棗は「なつめ」の果実のことで、前回紹介した「生姜」とともに胃腸を元気にして体力つける漢方薬にかなりの頻度で含まれている生薬です。薬膳鍋や韓国料理の参鶏湯(サムゲタン)などに入っているので見かけたことのある方も多いと思います。
中国では「一日食三棗、終生不顕老(1日3個なつめを食べると決して老いない)」という言葉があり、楊貴妃が好んで食べていたとされています。腸内環境を整える食物繊維や貧血予防となる鉄分や葉酸などのミネラルやビタミンが豊富なため日々のちょっとした間食に活用するのもおすすめです。乾燥なつめは日本のスーパーでも中華食材などの場所で見かけることが多くなりました。手軽な薬膳おやつとして乾燥チップスやなつめにクルミを挟んだものなどもあるのでぜひ見つけたら試してみてくださいね。
【季節の楽しみ】
ひな祭り
3月3日は別名、桃の節句ともいわれる五節句の1つの上巳(じょうし)の節句です。現代ではひな祭りとしておなじみです。ひな人形に、ひなあられ、桜もち、ちらし寿司、ハマグリのお吸い物など色々な楽しみがありますね。
桃は邪気を払い、不老長寿をもたらすとして中国や日本で親しまれてきた果物です。桃源郷や桃太郎などの昔ばなしでも良く登場しますね。丁度旧暦の3月3日(2025年の新暦だと3月31日)頃に桃の花が咲く時期のため桃の花を飾ったり、花を浮かべた桃花酒を楽しんだりして桃の節句を楽しんだようです。
ちなみに桃の種は桃仁(とうにん)という名の生薬で血流を良くし、月経不順の改善などまさに女性の悩みによく活用する漢方薬に含まれています。女の子の健やかな成長を願うひな祭りと不思議な縁を感じますね。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)