2025啓蟄(けいちつ)/こよみと健康その27
2025.03.05 こよみと健康
2025啓蟄(けいちつ)(2025.3.5~2025.3.19)
早春の光を浴びて冬ごもりしていた虫や生き物たちが地中から出てきて活動を始める時期です。
【季節の養生】
随分と暖かい日が続いた後に、雪が降る寒さになり寒暖差が激しい日が続いていますね。寒暖差や気圧差などで頭痛などの症状に悩まされている方もいるのではないでしょうか。この時期は顔や頭がのぼせていても足は冷えているという方が結構います。漢方では春になりだんだんと強まってきた陽気が体の中でうまくめぐっていない状況と考えられています。気づいた時に足踏みしたり、レッグウォーマーを活用したり、足湯に浸かるとなど足元を温めて、体全体の血流や気を巡らせるのがおすすめです。また香りのよい柑橘系や香味野菜を食べたり、好きなアロマの香りでリラックスする時間をとったりするのも良いですね。
花粉もかなり本格的に飛散し、関東地方のスギ花粉は3月中旬頃にはピークを迎える予想となっています。花粉が飛散する時間帯は地域によって若干違いはありますが、基本的には朝に開花して花粉を放出し、拡散されていくため昼前後と夕方日没前後の気温が下がる時間帯に空気が対流するため注意が必要です。外出時間もできれば調整して対策してみてください。
【生薬と漢方その3】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。これから実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「陳皮(ちんぴ)」
性・味:温・辛・苦 帰経:脾・肺
代表的な漢方薬:六君子湯 平胃散
陳皮はミカンの皮を乾燥させたもので胃腸の働きを助ける漢方薬によく含まれています。七味唐辛子や屠蘇散(とそさん)など昔から日本での生活の中でも親しまれてきた生薬です。柑橘系の皮は香りも良く、レモンピールやオレンジピールなど世界でも使われていますね。日本薬局方で指定されているウンシュウミカンは日本人には冬の風物詩としておなじみです。ミカンの果物自体も食欲不振の改善のほか口の渇きを潤す作用があると言われています。
ちなみに「陳」は古いという意味で、中医学では少なくとも3年以上乾燥させたものを「陳皮」と呼び、より年季の入ったものが高級品とされているようです。
【季節の楽しみ】
彼岸そば
春分の前後3日を合わせた7日間は春のお彼岸です。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がある通り、この時期は季節の変わり目と言われています。そばは「五臓六腑の汚れを清める」といわれ、そばを食べ胃腸を整えてこの時期の気温差や気候の変化を乗り切ったようです。春の時期だと山菜そばなどで楽しむのも良いですね。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)