2025芒種(ぼうしゅ)/こよみと健康その33
2025.06.05 こよみと健康
2025芒種(ぼうしゅ)(2025.6.05~2025.6.20)
穀物の種まきや、麦の刈り入れ、稲の植え付けに適した時期とされています。沖縄、奄美、九州南部等はもう梅雨入りしていますが、他の地域もそろそろ気になる時期になりましたね。
【季節の養生】
紫陽花が咲き始め、雨の気配を感じる日が多くなりました。
雨の日というとイベントが延期になってしまったり、外出するがおっくうになったり、洗濯物を乾かすのに苦戦したり憂うつなことも多いですが、実は「雨の音」にリラックス効果があると言われています。ストレス軽減や安眠を促す効果もあるとされ、アプリやCD、動画などのコンテンツもあるようです。せっかくなのでぜひこの時期は生の「雨の音」のリズムやテンポに耳を澄ませてこころと身体をゆるませる時間をつくってみるのも良いですね。
高い湿度や低気圧で体調が優れないという方も多いかと思います。 お手頃な価格で出回り始めたトマトやキュウリ、また紫蘇やミョウガなどの薬味は体の重だるさの原因の一つとなる「湿邪」を体の外に追い出す手助けをしてくれる作用があると言われています。半身浴などで適度に汗をかくのも良いですね。またこの時期に旬となるサクランボもむくみや体のだるさ対策におすすめの果物です。
【生薬と漢方その9】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。これから実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「茯苓(ぶくりょう)」
性・味:平・甘淡 帰経:心脾胃肺腎
代表的な漢方薬:六君子湯 桂枝茯苓丸 苓桂朮甘湯
茯苓はマツボトというサルノコシカケ科のキノコの菌核を乾燥させたものです。胃腸の働きを促進して体内の水分代謝を改善したり、精神を安定させたりする作用もあると言われており、めまいやむくみを改善する薬や、胃腸薬などによく使用されています。
茯苓は美容にもよい生薬として西太后にも好まれ、茯苓餅というお菓子は北京で有名な名物となっています。茯苓の粉が含まれた「もなか」のような生地のあいだに、クルミや蜂蜜、ゴマや、果物のペーストを挟んだ素朴な味わいで健康にも良いお菓子として親しまれているようです。
【季節のできごと】
和菓子の日(嘉祥の日)
6月16日は和菓子の日です。和菓子の日は明治時代ごろまで行われていた「嘉祥(かじょう)の日」を現代に復刻させたもので、もともと平安時代の西暦848年に任明天皇が16の数にちなんだ菓子や餅などを神前に供えて、疫病を除け健康招福を願い、「嘉祥」と改元したことにちなんでいるとのこと。今では「1」と「6」を足した7種類のお菓子を「嘉祥菓子」としてこの時期の和菓子屋さんで並ぶことが多いようです。和菓子はその時期ならではの季節を楽しめるお菓子も多いのが魅力ですね。ぜひこの機会に好きな和菓子を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)