2025夏至(げし)/こよみと健康その34
2025.06.21 こよみと健康
2025夏至(げし)(2025.6.21~2025.7.06)
1年の中で最も太陽が高くなり、昼が長くなる時期です。
【季節の養生】
今年の関東地方の梅雨入りは、昨年の遅さと比べると例年通りでしたが、6月とは思えない暑さの日が続いていますね。暑さともに高い湿度ですでに熱中症の危険もかなり上がっています。
熱中症は体の中の体温の調節機能が上手くいかなくなってしまい、めまいや立ち眩み、倦怠感、筋肉のけいれん、頭痛や嘔吐、症状が進行すると意識障害や全身のけいれんなどが起こり、ときに死に至るこれからの時期には注意が必要な疾患です。
対策として暑さや湿度を避けることが大前提ですが、脱水を予防するためこまめな水分補給が大切です。起床時、入浴前、入浴後などコップ一杯程度の水を飲む習慣をつけるようにしましょう。また、食事も大切な水分摂取のタイミングです。この時期、朝食を摂らずに脱水気味となり、日中の不調の原因となる方も多いので、できる範囲で朝食をとることを心がけましょう。まずはみそ汁やスープ、スムージーなどでも良いですね。
そして現代では室内でも注意が必要です。暑さをそこまで感じなくても温度計、湿度計を置いて温度が28℃、湿度が70%超える場合はエアコンなどを上手く利用するようにしましょう。
【生薬と漢方その10】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。これから実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「白朮(びゃくじゅつ)」
性・味:温・苦甘 帰経:脾胃
代表的な漢方薬:六君子湯 補中益気湯 五苓散
白朮はキク科のオオバナオケラの根茎を乾燥させたものです。胃腸の働きを助けたり、水分代謝を改善したりする作用があり、前回紹介した「茯苓」とともに胃腸薬などによく含まれている生薬です。特に胃腸の働きを助け体力をつける漢方薬には配合されていることが多く「補気建脾の要薬」と言われています。年末に仕込み年明けに飲んで1年の健康を祈る「屠蘇散(とそさん)」にも配合されている生薬です。
ちなみに類似の生薬として「蒼朮」があり、こちらはむくみやからだのだるさの原因となる体の中の湿を取り除く作用が強いと言われています。日本ではメーカーによって同じ名前の漢方薬でも白朮、蒼朮それぞれが使われていることがあります。
【季節のできごと】
半夏生(はんげしょう)
半夏生は夏至から11日目に雑節で2025年は7月1日になります。半夏という薬草が生えるころという意味で、農家ではこの日までに田植えを終わらせるという目安の日です。関西地方ではタコ、福井県では焼き鯖、香川県ではうどん、奈良県では小麦を使った半夏生餅など地域ごとに様々な食文化が根付いているようです。これからの暑さが本格的になる季節備えてぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)