2025小暑(しょうしょ)/こよみと健康その35
2025.07.07 こよみと健康
2025小暑(しょうしょ)(2025.7.07~2025.7.21)
梅雨が明ける頃です。ついに本格的な暑さが到来する時期になりました。
【季節の養生】
今年はすでに連日、かなりの暑さを感じる日が続いています。暑さ対策として冷房は大切ですが、冷房で体が冷えて辛いという方も結構いるのではないでしょうか。室内と室外との寒暖差は自律神経の乱れ、疲れやすさ、食欲低下など夏バテの原因と言われています。冷房での体の冷え対策として、まずはカーディガンやひざ掛けを上手く活用し冷えを避けること、そして体の中の血行を良くすることが大切です。冷えやすいなと感じる場所をストレッチやマッサージでほぐしたり、シャワーをいつもより長めにあてたり、湯船につかるのも良いですね。体の中の血行を良くすることは、ほてり対策にもなります。
またこの時期は冷たい飲み物や、食べ物などを沢山摂取しがちですが、漢方では冷たいものの摂りすぎは胃腸の負担になり、夏バテの要因になると考えられています。冷たい飲み物はごくごく一気に飲むのではなく少しずつ、また冷たい食べ物は適量を、食べた後できれば夏でも温かいお茶やハーブティーがお勧めです。
ちなみに外にでかけたり、作業をしたりして暑さが体内にこもりほてってしまっているときは、しばらく手を冷やすのが効果的とのこと。冷たいタオルで汗を拭くのも良いですね。
夏はパイナップルやマンゴー、キウイ、桃など美味しい季節です。これらの果物は漢方では酸味と甘味が組み合わさった「酸甘化陰(さんかんかいん)」といい、カラダを潤す作用があるとされています。水分補給、ビタミンやミネラル補給にもなるのでぜひ日々の楽しみとして取り入れてみてください。
【生薬と漢方その11】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「蘇葉(そよう)」
性・味:温・辛 帰経:肺脾胃
代表的な漢方薬:香蘇散 半夏厚朴湯 参蘇飲
蘇葉は紫蘇の葉のことで、薬用で使われるのは赤ジソの方です。独特の香りで気の巡りを良くし胸のつかえや悪心、嘔吐などを改善し、魚介類の中毒や蕁麻疹にも効果があるとされています。青ジソが刺身のつまとして活用されているのはこのためです。赤ジソは梅干しの着色として用いられるほか、青ジソはスーパーでよく見かけることが多く、薬味として食卓に活用している方も多いのではないでしょうか。赤ジソの方が薬効は強いとされてはいますが、青ジソでも同様の効果が期待できます。どちらかというと体を冷やす傾向の食ベ物が多い夏に胃腸に優しく温性なのもポイントで、薬膳的に見ても夏バテの食欲不振のほか妊娠中のつわりなどにも活用できる心強い食材です。
【季節のできごと】
暑中見舞い(しょちゅうみまい)
「暑中見舞い」は猛暑時に相手の健康を気遣い、元気に過ごしてほしいとの願いを届ける夏の挨拶状です。小暑から立秋の前日(2025年だと7月7日~8月6日)までに送るのが通例で、その後の8月末くらいまでに送る場合は「残暑見舞い」という形になります。年賀状とともに日本の伝統的な季節の挨拶の習慣となっています。なかなか会えない人やお世話になった方などにこの機会にぜひ送ってみてはいかがでしょうか。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)