2025大暑(たいしょ)/こよみと健康その36
2025.07.22 こよみと健康
2025大暑(たいしょ)(2025.7.22~2025.8.6)
ついに夏休みが始まったという学校も多いのではないでしょうか。1年で最も暑くなる季節です。
【季節の養生】
梅雨が明け、連日暑さが厳しい季節になりましたね。この時期は季節の変わり目にあたる夏の土用(立秋の前日までの18日間、2025年は7月19日~8月6日)と重なり、特に夏の土用は高温多湿も重なるので、胃腸の調子を崩しやすい時期になります。暑いとどうしても冷たい飲み物や食べ物に魅力を感じますが、冷たいものの摂りすぎは胃腸の動きを鈍くする原因になるので要注意です。胃腸の調子があまり良くないなと感じたときは無理に食べずに、消化の良い野菜スープやみそ汁、お粥などで胃腸を休ませることを心がけてみてください。
また胃腸の負担を軽減するためにも日々の食事ではしっかり噛むことも大切です。体の中の余分な水分を出し胃腸を整えるトウモロコシや体内のこもった熱を取るスイカなど旬のものを楽しみながら暑さを乗り切りたいですね。
【生薬と漢方その12】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「葛根(かっこん)」
性・味:涼・甘辛 帰経:脾胃
代表的な漢方薬:葛根湯
葛根はクズの根を乾燥したものです。風邪のひきはじめの首や肩の凝り、頭痛や胃腸症状などに活用され、特に葛根湯は「葛根湯医者」という落語のネタにもなるくらい日本で親しまれてきた漢方薬です。現代でもドラッグストアでよく見かけますね。暇つぶしにまで効くかは置いといて、うまく活用すればかなり幅広くさまざまな活用ができる漢方薬です。
また葛根から抽出されるデンプン質である「葛粉」は伝統的な日本の食材として葛湯や、葛餅、くずきりなどに活用されています。つるりとさっぱりした食感のくずきりは夏ならではの和菓子として並ぶことも多いのでぜひ夏の風物詩として探してみてはいかがでしょうか。
【季節のできごと】
土用の丑の日(どようのうしのひ)
土用は立春、立夏、立秋、立冬の直前のそれぞれ約18日間のことを指します。昔から季節の変わり目となる土用の期間は特に胃腸の負担のかかる時期とされ、体調管理にいつも以上に気を付ける必要がある時期とされていました。そんな夏の土用の期間「丑の日(うしのひ)に「う」から始める食べ物や黒いものを食べると夏負けしない」と言いう風習から、今はウナギが特に有名になっていますね。そのほかにも、梅や、うどん、うり、土用しじみなどもおすすめです。また丑の日は12日に1回めぐってくるため、2025年の土用の丑の日も昨年と同様に7月19日と、7月31日の2回あります。ちなみに実はそれぞれの土用の期間ごとに春の土用は戌(いぬ)の日に「い」のつくもの、秋の土用は辰(たつ)の日に「た」のつくもの、冬の土用は未(ひつじ)の日に「ひ」のつくものを食べると良いとされる風習があるようです。(薬剤師・国際中医専門員 國兼)