2025処暑(しょしょ)/こよみと健康その38
2025.08.23 こよみと健康
2025処暑(しょしょ)(2025.8.23~2025.9.6)
夏休みも後半になりました。暑さが収まってくる時節という意味ですが、今年はもうしばらく厳しい暑さが続きそうです。
【季節の養生】
厳しい暑さで暦の上の秋と言われてもあまり実感が湧きませんが、スーパーでは梨やブドウ、サンマなど秋の訪れを感じさせる食材が並ぶようになりました。漢方では残暑が残る初秋は温燥(おんそう)、肌寒さを感じ始める晩秋は涼燥(りょうそう)と区別し、同じ乾燥対策でも少し異なった対策をする考え方があります。
初秋の温燥の時は、体内の潤いが不足してほてり感をより感じやすくなっているので、体の中を潤して冷ますイメージの漢方を選ぶことが多く、薬膳の食材も梨や蓮根、豆腐などがよく活用されています。残暑が厳しいのでゴーヤチャンプルーなども良いですね。
また外の暑さが厳しすぎるため、空調で冷やされた室内にずっといて、身体を動かす機会が減り気づいたら体が冷えているという方も結構いるのではないでしょうか。それぞれの体質や活動量によっても感じ方は変わるので、室内の空調の温度設定はなかなか難しいですよね。冷えを感じる時はまずカーディガンやストールなどを上手く活用して対処することがお勧めです。また血流の巡りが悪くなっていることが多いので、冷えているところは気持ちいいと感じる程度に温めたり、ストレッチをしたりするなどこまめに自分の体の調子と向き合う時間をつくること心がけてみてください。夏の時期の入浴も全身の血行を促進し、冷房による体の冷えやだるさ改善につながるので、できれば15分程度しっかり浸かるのがおすすめです。
【生薬と漢方その14】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「薄荷(はっか)」
性・味:涼・辛 帰経:肝肺
代表的な漢方薬:加味逍遥散 清上防風湯
薄荷はシソ科のハッカの地上部で、スーッとした爽やかな香りが特徴です。熱感を感じる頭痛やのどの腫れ、痛みに対しての風邪薬や、気の巡りを良くする漢方薬に活用されている生薬です。
日本では北海道で多く栽培され、ハッカ油として虫よけや消臭、リラックスするためのアロマとして活用されるほか、薄荷飴として昔から馴染みがありますね。またミントという呼び名で世界各地にてハーブティーやお菓子などに活用されています。ちなみに同じシソ科ハッカ属でもそれぞれの香りや葉の形など少しずつ特徴が異なり、漢方薬で使われる薄荷はメントールが含まれ香りが強いのが特徴です。
【季節のできごと】
伝統的七夕(でんとうてきたなばた)
現代では新暦で行事が行われることが多いですが、旧暦の7月7日、2025年は8月29日が本来行われていた伝統的七夕の日になります。
伝統的七夕の日は梅雨も明け、月も夜半前に沈むなど天体観察に適した条件で、国立天文台でも「星を楽しむのに最適な日」として推奨しているとのこと。織星(ベガ)、彦星(アルタイル)、デネブの夏の大三角や天の川を見つけやすいようです。今年の8月29日は明かりを普段より控えて夜空を眺めてみてはいかがでしょうか。あらためて願い事を考えるのも良いですね。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)