2025白露(はくろ)/こよみと健康その39
2025.09.07 こよみと健康
2025白露(はくろ)(2025.9.7~2025.9.22)
白露は朝晩の気温が下がることで草木の葉先に水滴(露)がつき、太陽の光でキラキラと白く輝く、秋の前半最後の時節です。
【季節の養生】
今年は9月になってもかなりの暑さになったり、台風や線状降水帯などの天気の急激な変化があったり、天気予報が気になる日々が続きそうですね。
厳しい連日の暑さで疲労が蓄積した状態で、急激な気温や気圧の変化に体が追い付かず、体のだるさを感じたり、食欲不振となったり、いわゆる秋バテ状態になっているという方も多いのではないでしょうか。
朝晩の寒暖差や室内外の気温差に対応できるように、カーディガンやストールなどぜひお気に入りのものを見つけて活用してみてください。お風呂にゆっくり浸かることも血行を促進し、冷えやだるさ改善につながります。好きな香りの入浴剤など使うと更にリラックス効果が高まりますね。38~40度のお湯で15~ 20分程度を目安にじっくり浸かるのがお勧めです。
秋は薬膳では白い食材をとるのが良いと言われており、体の中の乾燥状態を潤し、元気にする作用がある梨や蓮根、長芋や白ゴマや豆乳などが良く挙げられます。そういえば白米も白ですね。お米も補気作用があるとされる代表的な食べ物です。胃腸の調子が弱っているときまずはお粥を取り入れてみてください。また大前提として、よく噛むこと、腹八分目、胃腸の動きを鈍らす冷たいものはできるだけ控え温かいものを摂るようにすることを普段から心がけて胃腸を守り、これからの季節に備えていきましょう。
【生薬と漢方その15】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「菊花(きくか/きっか)」
性・味:微寒・甘微苦 帰経:肝肺
代表的な漢方薬:釣藤散 杞菊地黄丸
菊花はキクまたはシマカンギクの頭花を用いり、中国ではシマカンギクは野菊花、またそれぞれ産地によっても使い分けがされています。慢性的に経過する、のぼせや頭痛、目の疲れ、イライラなどの症状に対しての漢方薬に活用されている生薬です。
また花をそのまま使う見た目と、香り・味も比較的なじみやすくリラックス効果もあるため薬膳茶の茶剤としても人気があります。中国では菊花茶として親しまれているほか、ハーブティーとしておなじみのカモミールも実はキク科の植物です。カフェインも含まれていないので夜のリラックスタイムに活用するのにもおすすめです。
【季節のできごと】
重陽の節句(ちょうようのせっく)
9月9日は重陽の節句です。中国では奇数のことを陽数と言い、縁起がいいとされており、それぞれ奇数が重なる日をお祝いしたのが5節句の始まりです。中でも一番大きな陽数(9)が重なる9月9日を、陽が重なると書いて「重陽の節句」と定め、長寿や無病息災を願う行事をしてきました。別名、菊の節句とも呼ばれ菊酒や栗ご飯、秋ナスなどを楽しみます。ちなみに旧暦の9月9日にあたる日は2025年では10月29日です。ちょうど菊の花が咲く季節となるのでそちらの日程で楽しむのもありですね。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)