2025寒露(かんろ)/こよみと健康その41
2025.10.08 こよみと健康
2025寒露(かんろ)(2025.10.8~2025.10.22)
「寒露」は草木に冷たい露が降りる時期という意味です。日中は空気が澄んで秋晴れの過ごしやすい日が多くなる気持ちの良い季節ですね。
【季節の養生】
秋も後半となりじめじめとした暑さから乾燥や寒さが気になる「涼燥(りょうそう)」の季節になりました。いつの間にか朝晩は羽織るものが欲しいと感じる日も増えてきましたね。
適度な気候で睡眠もとりやすく、食欲も出やすいので養生しやすい季節ですが、日々の疲れの積み重ねや体質によっては「気陰両虚(きいんりょうきょ)」といって体の中の潤いや元気が不足し症状が出やすい季節となっています。肌の乾燥やかゆみ、ドライアイ、便秘、髪のパサつきなどが気になる方は、食事や睡眠などぜひこの機会に見直してみてください。
また漢方では「悲」と関連する季節と言われ、悲しみや気分の落ち込み、思い悩むといった症状が出やすい季節でもあります。そういえば音楽でも寂しさを感じさせる秋の名曲が多い気がします。まず自分の「こころの声」をしっかり聞けるようになること、そしてどんな感情でも否定せず、受け止めて、そして追わないことが理想です。
この時期はスポーツの秋に、食欲の秋、そして芸術の秋、読書の秋など様々なイベントもあるので、自分の好きなことで楽しみを見つけて気分転換するもの良いですね。
【生薬と漢方その17】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「山薬(さんやく)」
性・味:平・甘 帰経:脾肺腎
代表的な漢方薬:八味地黄丸
山薬はヤマノイモ、ナガイモの根茎を乾燥させたものです。生薬としては元気や潤いを補い疲労倦怠や食欲不振を改善し下痢や頻尿などに使う漢方薬に使われています。
ヤマノイモは山芋や自然薯(じねんじょ)とも呼ばれ、消化酵素を含み滋養強壮にも良いとされ「山のウナギ」と言われ昔から親しまれてきた食べ物です。元気や潤いを補い、薬膳の観点からもこの時期にぴったりの食材なのでぜひ生で食べてとろろにしたり、お好み焼きのつなぎなどに活用してふわふわな食感を楽しんだりと様々な形で活用してみると良いですね。
【季節のできごと】
長崎くんち
「くんち」は九州北部を中心に行われる秋祭りの総称で、秋の収穫や地域繁栄の感謝を込めて神様に奉納される伝統行事です。もともと前回紹介した旧暦9月9日の重陽の節句(ちょうようのせっく)・合わせて開催されており、この9日(くにち)がなまって、「くんち」になったと言われています。「長崎くんち」「福岡おくんち」「唐津くんち」の3つが日本三大くんちとされており、「長崎くんち」は諏訪神社の秋の大祭として現代では新暦の月遅れにあたる10月7日から9日のあいだの3日間にかけて行われます。7年に一度のそれぞれの当番の地域の踊りや船の曳き物(ひきもの)、担ぎものなどの演し物が魅力で街が活気にあふれる行事のようです。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)