2025霜降(そうこう)/こよみと健康その42
2025.10.23 こよみと健康
霜降(そうこう)
(2025.10.23~2025.11.06)
「霜降」は霜が降り始める時期という意味です。金木犀の香りを感じ始め、各地の紅葉の便りも聞かれる頃になりました。
【季節の養生】
暦の上では秋も終盤です。いつの間にか冷えを感じる日も出てくるようになりましたね。「冷えは万病のもと」と言われるように養生の基本として「冷やさない」ことはとても大切です。冷たい飲食を控えできれば温かいものを摂ること、体、特に三首(首、足首、手首)を冷やさないことを心がけるようにしましょう。特に足元は気づかぬうちに冷えていることもあり、温めたら気持ちいいと感じたら冷えている証拠です。レッグウォーマーなど早めに活用してみて下さい。急な気候の変化に戸惑いもありますが気候に合わせた服装を見直すちょうど衣替えの時期ですね。
そしてこの期間は季節の変わり目となる秋の土用となるので胃腸の調子を見直すにも良い期間です。サツマイモやジャガイモ、玉ねぎやカボチャなど収穫の秋には胃腸を整え元気にする食材が豊富なのでぜひ楽しんで活用していきましょう。
また冬に向けて空気もさらに乾燥するので、肌の負担を感じ始める方も多いのではないでしょうか。日々の保湿もこまめに行っていきたいですね。
【生薬と漢方その18】
漢方薬は色々な生薬を組み合わせてつくられています。実は身近にあるものも多い生薬に焦点をあててご紹介していきます。
「当帰(とうき)」
性・味:温・甘辛苦 帰経:心肝脾
代表的な漢方薬:当帰芍薬散 四物湯
当帰はセリ科のトウキ、ホッカイトウキの根を湯通しして乾燥させたものです。温めながら血を補い、気や血の巡りを良くする作用があると言われ、貧血やめまい、月経不順や月経痛に使う漢方薬に使われています。
「婦人の聖薬」とも呼ばれ、女性によく見られる不調に対しての漢方薬に使われるほか、血を補い元気にする漢方薬の基本となる四物湯の中にも含まれているため、さまざまな漢方薬に活用されている生薬です。
【季節のできごと】
炉開き(ろびらき)
炉開きは主に茶道の世界でそのシーズン初めて炉に火を入れて使い始める日のことです。現代では新暦の11月の最初の亥(い)の日に行い、2025年は11月2日になります。十二支の中の亥は陰陽五行説の「水」、陰陽では「陰」にあたるため「火を制御する」とされ、旧暦の亥月の亥の日に火を使い始めることでこれからの季節に火事が起こらないよう願っていたとのこと。炉開きの時のお菓子としては亥の子餅(いのこもち)や善哉(ぜんざい)が挙げられ、和菓子屋さんの店頭に並ぶようになります。冬支度を始めながら、この時期ならではの和菓子を楽しむのも良いですね。
(薬剤師・国際中医専門員 國兼)
